中国のバイオテクノロジー企業がふん便のドナーを募集
中国南東部の広東省深セン市にあるバイオテクノロジー企業がこのほど、ふん便を提供するドナーを募集していることがネット上で人々の注目を集め、ホットな話題となっています。応募者には18~30歳、心身ともに健康で、悪い生活習慣がなく、毎日1~2回の規則正しい排便が要求されています。ドナーの合格者にはふん便提供1回当たり200元(約4200円)の補助金が支払われるほか、半期の最優秀ドナーには奨励金1000元(約2万1000円)が贈られます。また、提供回数には制限がないため、多い場合は毎月6600元(約14万円)の補助金がもらえる上、定期健診も無料で受けられます。ただし、ドナーに対する要求は非常に厳しいため、健康なドナーはすでに何千人もいますが、供給がなかなか需要に追い付かない状態であるため、若者が多く集まるオンラインプラットフォームでドナーの募集を始め、提供者の範囲を拡大しようとしています。
募集側の関係者によりますと、腸内フローラは医学界では「隠れた臓器」とされており、ふん便移植(フローラ移植、FMT)では健康な人のふん便から採取した機能性フローラを患者の腸内に移植することで、患者の機能性フローラを再構築し、腸や腸外疾患の治療につながるということです。
また、医学専門家によりますと、腸内フローラには炎症性腸疾患や造血幹細胞移植手術に伴う合併症、さらには自閉症などの神経系疾患との関わりがあり、腸内微生物のゲノムやメタボなどのデータから、特定の病気に効く微生物を探し出したり、臨床薬の開発をしたりすることができます。
ふん便にあるフローラは生物医学の研究だけではなく、病気の治療にも役立ちます。2014年、中国中部の湖南省にある中南大学の付属病院である湘雅病院はふん便移植法で難治性腸炎患者の治療に成功しました。2017年、湘雅第三病院消化器内科の王芬教授はストレスなどの要因によるうつ病患者の治療に初めてふん便移植法を採用し、その後の経過観察を経て、患者の状態は安定しており、好ましい治療の効果を見せました。