スマート物流のさらなる進展にともなって、ドローンや無人配送車、無人倉庫の導入が加速し、中国の宅配業界は急速にスマート時代へと邁進している。人民日報が伝えた。
10月25日午前10時、江蘇省蘇州市の陽澄湖畔では、水揚げされた上海ガニを満載して、物流大手・順豊傘下豊翼科技製のドローンが飛び立った。このドローンは、順豊の陽澄湖中継場に最短4分で到着する。9月25日のカニ漁解禁以来、ドローンはすでに300回以上飛行し、合計2700キロ以上の上海ガニを輸送した。
順豊豊翼ドローン事業部の陳孝輝氏は、「今年は上海ガニのドローン輸送が日常化した。これにより生産地での集荷効率が高まっただけでなく、鮮度の高さを求める顧客のニーズにもより良く応えられるようになった」と話す。また、「ドローン+貨物専用機」の連携輸送により、毎日10トンの上海ガニが陽澄湖から東南アジアへと「飛び立ち」、最短48時間で届いている。
輸送能力の向上、活用シーンの増加、カバー範囲の拡大によって、今年に入り、ドローン配送は日常生活に徐々に溶け込みつつある。陳氏によると、9月末時点で、豊翼は523本の飛行ルートを開設し、飛行回数は延べ100万回を超え、貨物輸送量は520万件以上に達した。「低空物流ネットワーク」の構築により、配送時間が大幅に短縮され、例えば粤港澳大湾区(広州、仏山、肇慶、深セン、東莞、恵州、珠海、中山、江門の9市と香港、澳門<マカオ>両特別行政区によって構成される都市クラスター)では、市内配送が平均2時間、都市間配送が約3時間で完了するようになったという。
「空の無人配送」が始まった一方で、「地上の無人配送」も増えている。今年4月には中通快遞(ZTO Express)が無人配送車運用プラットフォームを稼働し、40以上の都市、100以上の拠点を結んで、200台以上の無人配送車を運用している。5月には北京郵政が順義区で無人配送車を使用して、往復約30キロ、小包500個以上の配送実験を行った。6月には韻達快遞(Yunda Express)が無人配送車を販売促進シーズンに導入し、配送スタッフとの連携により、配送効率を30%以上高めた。
無人技術は倉庫作業でも大きく活用され、重さと大きさのインテリジェント測定や、箱の六つの面をセンサーによってスキャンする技術などが用いられている。京東物流のスマート倉庫センターでは、商品を満載した棚が倉庫内を移動している。よく見ると、これらの商品棚には「脚」がついている。これは5G技術を活用したスマートピッキング・運搬ロボットだ。
京東物流の担当者は、「このロボットは小さいが、性能もパワーも優れている。ピッキングリストの指示通り精確に目標とする貨物棚の下に入り、やすやすと持ち上げて出荷作業エリアに運ぶことができる。この機器は1時間に600件以上のピッキングを行うことができ、従来の手作業よりも3-5倍効率的で、すでに10ヶ所以上のスマート産業パークで利用されている」と紹介した。
また、国家郵政局の担当者は、「ドローン、無人配送車、無人倉庫などの導入が加速し、5Gや人工知能(AI)といった新技術が集荷、仕分け、輸送といった各工程で応用されるようになったことで、業界の自動化、情報化、デジタル化が効果的に促進され、物流に対するニーズにもより良く応えられるようになっている」と指摘。さらに、「無人配送は初期の模索、技術的ブレイクスルー、商用化の3つの段階を経てきた。初期の技術的模索からコンセプト実証、中期の技術的難題の解決、技術的安定性の向上を経て、10年という短期間で無人配送は商用化段階に入り、業界のコスト削減と品質向上に寄与してきた」と語った。
データによると、9月29日時点で、今年の全国の宅配事業収入は1兆元(1元は約21.4円)を超え、昨年より1ヶ月半近く早く1兆元超えを達成した。
前出の国家郵政局の担当者は、「今年に入り、郵便・宅配業界はデジタル化・スマート化を加速し、新たな原動力と優位性が形成され続けている。需要の増加や企業の積極的な展開、人々の受容度の高まりに伴い、無人技術は自律ナビゲーション、スマート制御、AI障害物回避といった面で大きな進展を遂げており、市場の潜在力はさらに解き放たれていくだろう」と述べた。