2023年8月8日、中国国務院は「河套深港科学技術イノベーション協力区深セン園区発展計画」(以下、「河套計画」)を発表し、河套協力区を「深港(深セン・香港)科学技術イノベーション開放協力先導区、国際先進科学技術イノベーション規則試験区、粤港澳大湾区中間テスト転化集積区」として位置づけ、河套協力区深セン園区の建設を推進することを明らかにした。「河套計画」では、2025年と2035年を重要な節目として、深セン園区の建設を段階的に推進していくことを示している。2025年までに、効率的な深港科学技術イノベーション協同メカニズムを確立し、深センと香港の科学技術イノベーションによる開放的な協力は成果を上げ、また、2035年までに、香港園区との協同イノベーションのメカニズムが完成し、世界レベルの科学研究中枢になることを目指している。
河套協力区は香港特別行政区北部と深セン市中南部が接する境に位置しており、香港北部都会区と広深港(広州・深セン・香港)科学技術イノベーション回廊の交差点である。その面積は約3.89平方キロメートルで、そのうち深セン園区は3.02平方キロメートル、香港園区(港深イノベーション・科学技術園)は0.87平方キロメートルである。地理的優位性が際立っており、深センと香港を結ぶ福田口岸(通関地)と皇崗口岸を有し、深セン光明科学城や香港科学園などと「半時間科学研究圏」を形成し、広州市や東莞市、恵州市などの都市と「一時間産業圏」を形成している。また、経済が発達し、科学技術イノベーションが活発に行われ、国際的な科学技術イノベーションネットワークへのアクセス、科学技術協力の国際的な展開、国際一般規則とのマッチングなどの面で独特な優位性を備えており、粤港澳大湾区における科学技術イノベーションをコンセプトとした特色あるプラットフォームとなっている。
近年、河套協力区深セン園区は大きな成果を収め、深セン・香港科学技術イノベーション協力は新たな段階に入った。そのうち、中国大陸部初の深セン・香港「共同政策パッケージ」が発表、実施され、香港科学園深セン園が稼働した。また、累計80万平方メートルに達する科学研究空間が整備・改造され、粤港澳大湾区デジタル経済研究院や香港都市大学深セン福田研究院、米アップル応用研究実験室などの重大な科学研究機関と企業研究開発センター160カ所余りが導入された。さらに、社会保障基金大湾区科学技術イノベーション特別基金が深セン園区に拠点を設立した。そして、企業所得税は15%の軽減税率で徴収され、「科匯通」などの重点政策が順調に実施された。他には、「e駅通」総合サービスセンターや深セン市科学技術図書館(福田分館)などの関連サービス施設が完備されている。河套協力区は科学技術イノベーションと制度イノベーションを発展させることで、粤港澳大湾区国際科学技術イノベーションセンターの要所を築き、粤港澳大湾区の高品質発展の重要なエンジンになることを目指している。