世界知的所有権機関(WIPO)がこのほど発表した「2024年版グローバル・イノベーション・インデックス(GII)」の速報が、国際社会で大きな注目を集めている。それによると、グローバル科学技術クラスタートップ100に選ばれたクラスター数で、中国は2年連続で世界最多だった。2位は米国で、以下、ドイツ、インド、韓国が続いた。
世界の科学技術クラスター上位10クラスターを見ると、日本の東京-横浜都市クラスターがトップだった。中国は4クラスターがランク入りし、深セン-香港特別行政区-広州が2位、北京が3位、上海-蘇州が5位、南京が9位となっている。
科学技術クラスターはグローバル・イノベーション・インデックスを構成する指標の1つであり、主に「特許協力条約(PCT)」で公開された特許出願における発明者の所在地、発表された科学技術論文の筆者の所在地に基づく。WIPOはこうした指標について統計をまとめてランキングを作成し、世界で活発な科学技術の活動が集積するエリアを確定した。
昨年のGIIで、中国はトップ100入りした科学技術クラスターが初めて世界最多になった。今年はトップとしての優位性がさらに強化された。
中国科学院科技戦略諮詢研究院の万勁波研究員は、「科学技術強国には、力強い科学技術イノベーションの国際的影響力と牽引力が備わっていなければならない。国際的な科学技術イノベーションセンターと地域の科学技術イノベーションセンターを築き上げ、一連の世界的に重要な科学センターとイノベーションの重要拠点を構築することが、科学技術強国建設における重要な措置である」との見方を示した。
成長し続ける高付加価値の特許と知識成果、迅速に構築されるイノベーションの優位性が、ますます多くの新興産業と未来産業にエネルギーを与えている。
先ごろ、北京市亦荘鎮で行われた2024年世界ロボット大会で明らかになったデータが注目を集めた。発表によると、中国は世界のロボット産業で19万件の有効特許を保有し、世界の約3分の2を占め、中国製造業のロボット密度は労働者1万人あたり470台に達し、10年で約20倍に増えた。大会開催地となった亦荘には100社を超えるロボットメーカーが集まっており、ここにいれば、企業はわざわざ外に出かけていかなくとも、開発、製造、トレーニング、テスト、応用の各プロセスのイノベーションパートナーを見つけることができる。
中国のイノベーション勢力図を見ると、一連の世界レベルの産業クラスターが加速度的に形成されている。北京中関村の情報通信技術(ICT)産業の規模は全国の17%を占め、長江デルタ地域のハイテク産業開発区36ヶ所のバイオ医薬品産業の規模は全国の半分以上を占め、珠江デルタ地域では先端材料などの分野で一連の1兆元クラス産業クラスターが生まれている。
科学技術クラスターは中国のイノベーション発展の新たな重要拠点であるだけでなく、世界のイノベーション資源に対する「強い磁場」にもなっている。
深センでは、米アップルや独シーメンス・エナジーなどの外資系企業が開発センターの建設を加速し、「中国で生産」から「中国で開発」へと移行し、中国で何を強化するかとの構想が変化している。上海では、一連の力強い特許保護措置により、独バイエル、スイスのロシュグループなどの国際的な製薬会社が中国での発展への信頼感を一層高めている。
WIPOの鄧鴻森(Daren Tang)事務局長が述べるように、「科学技術クラスターは国家のイノベーションエコシステムにおける重要な基礎であり、こうしたクラスターは先進国で勢いよく発展しているだけでなく、新興エコノミーでも徐々に力を付けつつある」のだ。