中国の一部地域では、広い範囲で猛暑が続いており、電力消費量が増えている。広東省深セン市の北部の一部地域で、一部の時間帯に電力消費のピークが生じると、深セン仮想発電所管理センターが直ちに仮想発電所事業者に負荷調節の案内を出す。
「ビッグデータによって調節に参加する充電スタンドを正確に識別し、その充電ポールの出力を30%下げる」仮想発電所事業者である深セン特来電新能源有限公司のエネルギー管理マネージャーである劉耀偉氏は、直ちに管理センターに報告した。
ピークを迎え夏を乗り切る期間中、このような電力資源の調節は珍しくない。
中国各地は現在、仮想発電所の発展に取り組んでいる。重慶市初の仮想発電所が8月に運転開始し、浙江仮想発電所管理プラットフォームも正式に使用開始となり、上海仮想発電所によるピークシフトが再び記録を更新した。電力安定供給保障の重要な支えと解決策である仮想発電所は、目に見えないスマートな電力「運搬者」だ。
実体の発電所にあらず
「8月6日の午前11時45分から午後1時15分に負荷を20万kWに調節する必要がある」港華能源VPP星(仮想発電所運転管理システム)は8月5日、深セン仮想発電所管理センターからピークカットの案内を受けた。調節可能な範囲内で自発的に参加規模を申告することで、その参加規模を分散型エネルギー貯蔵および負荷に分解し、直接的に電力使用計画指令を出す。分散型エネルギー貯蔵および負荷に分解し、電力使用計画指令を直接出す。
港華能源VPP製品総責任者の超青氏は例を挙げ、「エネルギー貯蔵はピークカット時間帯に充電せず放電し、充電ポールは一部の運転を停止するか出力を下げ、オフィスビルはエアコンの設定温度をやや上げるなど、設備によって調節方法が異なる」と述べた。
深セン仮想発電所管理センターのマネージャーである李江南氏は、「仮想発電所は実体の発電所ではなく、新型エネルギー電力管理システムだ。目に見えない電力の運搬者のようなもので、電力供給が逼迫する時間帯になると、大量の分散された電力負荷資源を直接調節し、特定の時間帯内の負荷の調節を実現する」と述べた。
調べによると、仮想発電所はエネルギーインターネット技術を利用することで、エンドユーザーに分散されている充電ポール、エアコン、分散型太陽光発電などの電力負荷資源を統合し、最適化制御を行う。これは「クラウド発電所」に相当する、「インターネット+電源・電力網・負荷・エネルギー貯蔵」一体化のデジタル化エネルギー管理システムだ。
深セン仮想発電所管理センターの責任者である欧鳴宇氏は、仮想発電所調節管理クラウドプラットフォームの建設の背景について、「電力システムは発電と電力消費量のバランスをリアルタイムで保つ必要がある。伝統的な電力システムでは電力網の安定運転を支えるため、電源を調節することで利用者の電力消費の需要を満たすことが多かった。電源の供給が不足する状況下では通常、需要への反応もしくは負荷の管理によってユーザーにピークをずらすか回避する電力消費を促す。新型エネルギー体制及び新型電力システムの構築の加速と、新エネ電力の大規模な接続は、電力バランス及び電力網の安全運転への挑戦となった」と述べた。
欧氏はさらに、「仮想発電所の中核は、地域を跨ぐ広域の資源統合・最適化・コントロールにある。需要側の資源を調節することで、新エネ発電の変動性に適応し、電力システムの相対的な安定性を支える。特に太陽光発電などの新エネは天気次第で、変動性・偶然性・間欠性が高い。電力網の高い割合を占めることで既存の電力システムの周波数に干渉し、電力システムの安全に影響が及ぶ」と続けた。
深セン仮想発電所管理センターは今年に入り31回正確に反応し、全市の電力消費のピーク、断面の過負荷、主変圧器の過負荷などの問題を効果的に解消した。深セン仮想発電所調節管理クラウドプラットフォームの合計接続資源容量は275万kW以上、調節可能容量は60万kW、接続資源設備総数は5万5000で、仮想発電所接続事業者は50社弱。
土地資源を使わず、送電ルートを新設する必要がない。これは仮想発電所の別の大きなメリットだ。200MW仮想発電所の建設を例とすると、毎年の標準石炭の消費量を4万700トン、CO2排出量を10万8000トン、二酸化硫黄排出量を3261トン減らすことができ、土地資源の価値を9−10億元節約できる。
調べによると、深センは2025年までに100万kW級の調節能力を持つ仮想発電所の完成を予定している。年間最大負荷の5%の安定的な調節能力を形成し、大規模調節が可能なユーザー資源のシステムの調節への自発的な参加を促す。温室効果ガス排出量を毎年約54万トン削減し、新エネ体系の建設とグリーンで低炭素な産業発展を力強く支える。