6月29日午後、深センの大鵬湾・沙魚湧海域付近で捕食するニタリクジラが初めて目撃された。大鵬湾を訪れた「小布(ブブ)」は都市と野生動物との関わりの一端を反映したものであり、深センが生物多様性保全を非常に重視し、生態環境の質を常に向上させていることを示している。
ニタリクジラ「小布(ブブ)」=石磊撮影
広東海洋大学深セン研究院の高級技術者である廖宝林氏の紹介によると、ニタリクジラは群れで生活することを好むクジラで、餌や水質環境への要求が高く、通常は魚が豊富な海域に生息しているという。6月末、南海はちょうど禁漁期であったことから、魚の群れが増加していた。また、近年深セン大鵬の生態環境が改善されたこともあり、これらが「小布(ブブ)」が深センに「来客」した理由になったものと考えられる。
大鵬新区は深セン市の約1/4の海域面積を有し、近海の海水の水質は国家一、二類基準に100%達し、64本の河川がⅣ類に100%達し、サンゴの平均被覆率は30%以上、生物の多様性も良好な状態にある。
河川の水質が改善されたことについても、市の生態環境局の全面的な協力と切り離すことはできない。全市310本の河川に対して、深センは「一週一測」を実施し、「一河一策」を策定し、分類と改善を実施している。2016年以来、(深セン市政府は)治水資金として累計1500億元以上を投入し、全市の河川の水質に歴史的、根本的、総合的な好転を実現したことから、国務院より重点流域水環境質の改善が顕著な5都市の1つに選出された。更に、全国黒臭水域対策モデル都市となり、茅洲河、大沙河は2021年に広東省の美しい川と湖のトップ10に選出された。
深セン宝安茅洲河=呉明撮影
深センは約64%が陸地、約36%が海洋の生態系で構成されている。現在までに、深センの森林面積は78,100ha、森林の被覆率は40%近くに達しており、その名の通り、「森林の中に作られた」都市となっている。
梅林水庫の仙湖ソテツ自然保護区は深センで最初に設立された自然保護区で、これまでに発見された中で全世界最大の仙湖ソテツの野生個体群でもある。国家の第1種重要保護野生植物に指定されている仙湖ソテツは、深センの地名にちなんで名付けられた中国の固有種であり、地球上に現存する最古の樹種の1つで、ヘゴと同様にかつては1億年以上前から恐竜の餌となっていた。
深センには国家ソテツ遺伝資源保護センター、ラン科植物遺伝資源保護センター、中国イワタバコ科植物保護培養センター、ワラビ類センター等がある。
深セン市地域特有の野生動物としては、リウヒキガエル、シロトゲツメガエル、シンセンサワヘビ等があり、深センにちなんで名付けられたクモ——シンセンイヅツグモも生息している。
現在、深センでは41目142科585種の在来の陸生野生脊椎動物と、199科858属1,916種の在来の野生維管束植物が記録されている。その中には仙湖ソテツ、ヘゴ、パープルパフィオペディルム等の国家重点保護種も含まれている。
深セン仙湖植物園=朱洪波撮影
深セン市の面積は国土の1/5000近くしかないにもかかわらず、深センで発見された鳥類の種類は全国の1/4にも達している。世界で2番目に大きなクロツラヘラサギの生息地として、2020年の全世界クロツラヘラサギ同期全数調査は4,853羽、後海湾(深セン及び香港含む)では361羽が記録されている。この他にも、深センで越冬する渡り鳥は、サギ、カモメ、シギ、アヒル等を含む189種にものぼり、そのうち20種以上が国内外の重要保護希少種に属しており、クロツラヘラサギやズグロカモメ等の極めて珍しい鳥類も多く含まれている。